気候危機とは

気候変動は、目に見える形で深刻化しています。そして、世界中で気候危機と呼ばれるまでになりました。例えば、2019年には、大型の台風が日本を襲い、記録的な大雨や暴風をもたらしました。この年の自然災害損害総額は、世界で日本の台風がトップだったといわれています。日本はすでに、気候変動の影響によってとても大きな経済損失を被っています。気候変動対策を行わないことは、コロナ禍で傷ついた経済をさらに脆弱にする可能性をももっています。

世界にも目を向けると、各地で様々な被害が及んでいます。これはバングラデシュの異常気象による被害の様子です。この国は、気候変動の悪影響を最も被る国の一つといわれています。化石燃料をこれまであまり使ってこなかった途上国のほうが被害を被るという不公平さも、気候変動の大きな問題です。これらのような気候変動の被害を最小限に抑え、今ある命と未来を守るために必要なこと、それは、少なくともパリ協定で定められた、1.5℃目標を実現することです。

気候変動のリスク及び影響を最小限に抑えるには、産業革命前からの地球の平均気温の上昇を、1.5℃に抑えなければなりません。そのためには、世界全体で、2030年までに、二酸化炭素排出量を2010年度比で45%削減、2050年までに、実質ゼロにする必要があると報告されています。

1.5℃目標実現のためには、温室効果ガス削減目標、通称NDCと、それに関わる、エネルギー政策の基本方針、すなわちエネルギー基本計画が鍵を握っています。これらを真剣に考える必要があるのです。

今の日本政府が発表しているNDCは、「2013年度比で2030年までに46%」というものです。しかしこれは、先進国の歴史的排出や、これからの途上国の温室効果ガス排出を考えると、気候変動の被害を最小限に抑えるための十分な数値ではありません。現在の目標は国内の一部の企業や政治家の利益と国際政治における立ち位置だけを考慮して決められています。

今のままでは、私たちの将来の安全、平和を手に入れることはできません。気候危機の解決に向けて、政策担当者など、大きな権力を握っている人たちに、すでに起きている気候危機の被害と、それによって失われてしまう私たちの未来を考えさせなければいけないのです。