COP27活動報告:日本が今年も化石賞を受賞

■日本が「化石賞」を受賞

 

COP27のテーマが「Finance Day(融資の日)」だった11月9日、日本が「本日の化石賞」を受賞しました。

「化石賞」とは、環境NGOから気候変動対策に積極的でない国に皮肉を込めて与えられる賞で、日本はこれで三年連続の受賞となります。

今年の受賞理由は、「化石燃料に対し、世界で一番公的資金を拠出していること」でした。

授賞式では、司会者が「日本は、アジアでガス事業を拡大することにお金を費やしている」「モザンビーク、フィリピン、ベトナムなどでガスを掘り出そうとしている」と言っていました。

 

また、トロフィーを受け取ったNGOの方は、「世界の気候災害に苦しむみなさまにお見舞い申し上げます。しかし、(エネルギーの)移行のために投資は欠かせません。私たちは、石油、ガス、石炭のポテンシャルを信じています」と、日本政府や日本企業を皮肉ってスピーチをしました。

■化石燃料に融資し続ける日本

 

11月8日に、環境NGO Oil Change Internatonalが発表した報告書によれば、日本は2019年から2021年の3年間に、年平均約106憶ドル(1兆5900億円)、総額で318憶ドル(4兆7700億円)と、世界最高額の公的資金を化石燃料事業に融資していたそうです。

 

化石燃料への公的融資とは、例えば、

・LNGカナダ事業(国際協力銀行(JBIC)が融資。輸送用パイプライン事業に、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、三井信託銀行などが融資。)

・バロッサガス田開発事業(国際協力銀行(JBIC)が融資。海外企業とともに、JERAが提案。)

・マタバリ石炭火力発電事業(国際協力機構(JICA)がODAとして融資。住友商事が受注。)

などです。

 

■マタバリ石炭火力発電事業

 

化石燃料への公的融資の問題には、私たち気候正義プロジェクトがこれまで取り組んできたバングラデシュのマタバリ石炭火力発電事業の問題も含まれます。

 

バングラデシュは、気候変動の被害を最も受ける国の一つで、毎年のように大きな洪水が発生しています。今年の洪水でも400万人以上が支援を必要とする状態になり、また水に起因する病気が増加するなど、社会全体に大きな影響があります。

 

にもかかわらず、JICAと住友商事は、そのような土地で石炭火力発電事業を進めようとしています。しかも、ODA(政府開発援助)史上最大規模である、総事業費5000億円の大規模プロジェクトです。

 

この発電所は、完成すれば、排気ガスのために1・2号機だけで周辺の1万4000人が早くに亡くなってしまうと言われています。日本より環境基準が低いため、日本ではとても建てられないような規模の発電所を建設しようとしているのです。

 

また、土地を取得するために、すでに周辺住民の住居や職が奪われ、十分な補償もされていません。

 

マタバリ石炭火力発電事業については、詳しくはこちらをご覧ください。

マタバリ・キャンペーン – COP27特設ページ – 気候正義プロジェクト (fffcop27.org)

 

■気候変動対策の足を引っ張る日本企業・政府を変える

化石燃料事業に依存し続ける日本企業と、企業を規制するどころか融資して支援している日本政府を変えることは、世界の気候変動問題の最も重要なポイントの一つです。

 

私たちは、これからも海外のアクティビストたちと協力しながら、日本の化石燃料事業に抗議していきます。

 

※COPには、気候変動対策に積極的ではない、化石燃料事業に関与している企業の人々もたくさん参加しています。今年は、化石燃料ロビイストの参加者が363人と、過去最大でした。写真は、Big Polluters(最大の汚染者)を気候変動に関する交渉から追い出すことを求めるアクション。