■Solutions to the World?
11月9日、COP27会場の日本のブースで、三菱UFJ銀行によるイベントがありました。それは、「公正かつ秩序あるトランジションを通じたネットゼロ取組へのファイナンス促進における金融機関のエンゲージメント」というイベントでした。
日本で最も大きい銀行の一つである三菱UFJ銀行は、ホームページにも「サステナビリティ」の文字が踊り、環境に優しい銀行であるかのように見受けられます。ましてCOP27に参加しているとなれば、その印象はますます強まるでしょう。
しかし、三菱UFJ銀行には大きな問題があります。それは、三菱UFJ銀行がEACOP(東アフリカ原油パイプライン)に融資をする可能性があるのです。
世界的な反対の声を受け、みずほ銀行やHSBCなどの銀行は、EACOPに融資をしないと表明しました。にもかかわらず、三菱UFJ銀行は、環境NGOなどの指摘を受けても未だ不参加を表明しておらず、融資を行う可能性が残されているのです。
■世界最長の原油パイプライン・EACOP
EACOPとは、アフリカのウガンダからタンザニアを通り、完成すれば世界最長になる原油パイプラインです。このパイプライン事業により、CO2の大量排出だけでなく、建設予定周辺の住民が住む場所を追われたり、数百万人の生活や多様な生態系を支えている水資源が脅かされたりと、さまざまな被害が引き起こされると言われています。
■MAPAの声を無視する日本企業
そこで、私たちは、EACOPへの反対運動に取り組んでいるウガンダのPatience Nabukaluさんと、タンザニアのBaraka Lengaさんと一緒に質問することにしました。
Photo by 350.org
PatienceさんとBarakaさんは、三菱UFJフィナンシャルグループのグローバル・アドバイザー、河野正道委員に「なぜEACOPに出資しないことを表明しないのか」と質問しました。しかし、委員は「特定の事業については回答すべきでない」と、EACOP事業への言及を避けました。
私たちは納得がいかず、イベント終了後に河野委員に詰め寄り、EACOPについてもう一度質問しました。
驚くべきことに、委員は「私はCEOではないので、私たち(三菱UFJフィナンシャルグループ)が何をやっているかは知りません」と返答しました。
また、ウガンダやタンザニアといった、気候変動と環境破壊の最前線で闘う活動家を前にしてもなお、委員は 「持ち帰って検討することはできます」「今時間がないので」 などと適当な返答を繰り返しており、私たちは強い怒りを覚えました。
■MAPAは何を告発しているのか
MAPA(最も被害を受ける地域や人々)の活動家は、「自分たちは声なき存在ではない、自分たちの声が無視されてきただけなのだ」と強調します。彼ら・彼女らは、ただ支援を求めるだけの弱い存在ではなく、地球環境や自分たちの生活を守るために、環境破壊事業と闘っているのです。
気候変動の背後には、先進国の大企業が環境汚染や人権侵害を引き起こしながら開発プロジェクトを行い、それに対して人々が命や生活を守るために闘っているという対立構造があるのです。
MAPAが、そして彼ら・彼女らに連帯する私たちが声を上げるとき、企業のグリーン・ウォッシュの化けの皮が剝がれ、利益か命かという対立があらわになります。
COP27の現場で世界の活動家と交流しながら、被害の実態やMAPAの力強いプロテストの様子などを聞き、今後どんなムーブメントを共に構築していけるのか、考えていきたいです。
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