首相官邸による2030年温室効果ガス排出削減目標を46%とする表明に関する声明

2021年4月23日

Fridays For Future Japan

首相官邸による2030年温室効果ガス排出削減目標を46%とする表明に関する声明

【前文】

 この度私たちFridays For Future Japan(以下、FFFJ)は、政府が2030年温室効果ガス削減目標「2013年比46%」(改定前26%)を表明したことに対し、これは気候変動を解決する政府の責務として不十分な値であるとし、声明を発表いたします。私たちの訴えを聞いてください。

昨日4月22日に菅首相より、2030年温室効果ガス削減目標(通称、NDC)を46%にするという表明がなされました。しかし、この目標はパリ協定で定められた1.5℃目標を達成し、気候変動を解決するためには全く不十分な数値です。

 IPCCによる2018年の特別報告書では、1.5度目標を達成するには、世界全体での温室効果ガス排出量を2030年までに45%削減(2010年度比)にする必要があるとされています。しかし、これまでに大量の温室効果ガスを排出してきた歴史的責任や負担能力を踏まえると、より野心的な削減が必要です。日本では最低でも62%必要だとする報告があります

 私たちはこの発表を踏まえ、首相官邸に強い危機感と不安、怒りを感じています。日本政府のNDC46%という目標は、コロナ禍によって可視化された社会的弱者など気候危機から最も影響を受ける脆弱な国民を台風などの気象災害から守る責任を放棄したも同然です。現在の目標では1.5度以下に気温上昇を抑えることは難しく、増え続ける気象災害による経済損失のツケを払うのは国民であり、私たち若者です。

 今回の数値決定は、海外からの圧力で多少数字を上げただけにすぎず、やっつけ仕事としての気候変動対策しか行われていないのが現状です。これでは地球環境を破壊することに大きく加担してきた先進国の責任を負うことができるはずもありません。各国は「共通だが差異ある責任」を持ち、それを果たすために行動するべきです。

  そして、今回の表明があった今も気候変動による恐怖と早急な対策危機感は変わるどころか強まっています。先進国として果たすべき役割、格差の上に蔓延る問題はNDCだけではありません。国連のグテーレス事務総長は日本に対し、2030年までの化石燃料補助金と石炭発電からの撤退を訴えるなど、問題は山積しています。

  深刻化し続ける気候危機に「私たちの未来は守れないかもしれない。」、「気候弱者を増やし、さらなる苦境に陥れてはいけない」という思いで運動を続けてきました。私たちは今後も、政府が科学と気候正義に基づいた強力な気候変動対策を取るよう、より多くの人々とともに様々な形でアクションを行っていきます。